貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「私は大丈夫です。それより、紅華様をよろしくお願いいたします」

 天明は紅華を振り返る。

「紅華殿は大丈夫か?」

「足には自信があります。商人にとって俊敏さは大事な要素ですから」

「だってさ、女官長。貴妃に負けていたら立場がないぞ。がんばれよ」

「天明様は平気そうですね」

 覆面をしているのに、息を乱している様子もない。紅華たちと違って男であるということを差し引いても、かなりの体力があるようだ。


「これくらいで息があがるほどやわじゃないさ」

 紅華の考えを裏付けるように、天明が言った。

「天明様はともかく、先ほど陛下がいらっしゃいましたが、顔の色があまりよくありませんでした。ちゃんと、お食事を召し上がっておられるようですか?」

 そう聞いたのは睡蓮だ。その顔を見れば、彼女が心から晴明を心配しているのがわかる。

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