貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「私では、貴妃として後宮でやっていけないとお思いでしょうか」

 自分へと顔を向けた天明を、紅華は、じ、と見上げる。覆面の中に見える瞳は、存外澄んで美しかった。

 わずかな沈黙のあと、天明は苦笑交じりにいった。

「そうだな。身分のない妃ほどあわれなものはない」

「天明様」

 睡蓮のきつい声が飛ぶ。


「紅華様、天明様の言うことなど気にしないでください」

「え、ええ」

「紅華様なら、きっと陛下を支えられる素晴らしい貴妃となられます。どうか、陛下をお願いいたしますね」

 真剣な、それでいてどこか憂いを含んだ表情で睡蓮が言った。
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