貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「これから先、この国を背負っていく陛下には、紅華様のようなお優しくてお強い妃の支えが必要なのです」

「え、そんな」

 なにかすごく褒められたような気がする。
 もともと商人だった紅華にとって、後宮や貴族の世界はまだ実感を伴うものものではない。だが、睡蓮の期待は、きっと初日に宰相が言っていたことと同じことだろう。それほどに重い責任を負う貴妃という存在を、改めて紅華は心に刻む。

「やれやれ。父上を亡くしたばかりで傷心なのは、俺も同じだ。俺にも、紅華殿のような美妃の慰めが必要だとは思わないのか。なんなら、俺の妃にしてやってもいいぞ?」

 わざとらしくため息をつきながら、こりもせずに天明が言った。その口調は明るいが、やはり天明は紅華の貴妃に反対らしい。

(なにさ。さっきはあんなにしょんぼりしてたくせに)

「素直ではないですね」

「ん?」

「そうやって陽気に振る舞われてお心を隠すのは、天明様の悪い癖ですか?」

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