貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 足もとを注意しながら降りていた紅華は、天明の足がとまったことに気づいて振り返る。覆面の下の表情は見えないが、動揺している気配がうかがわれた。

(あら。ちょっと意地悪しただけなのに……図星だったのかしら)

 何か言うかと思って天明を見ていると、ふと、その視線が紅華の後ろに向いた。紅華がその視線を追うと、数人の官吏が階段を上がってくるところだった。先頭にいるのは、晴明だ。

 見ていると、その様子はふらふらと足元がおぼつかない。どうやら息が切れているらしく、両側の官吏が晴明を支えている。
 何人かがこちらを見上げ、晴明も気づいたらしい。

 紅華を見つけて、嬉しそうに笑みを浮かべた。

「紅華殿、来てくれたんだね。ありがとう」

「はい。今、墓前にご挨拶をしてきたところです」

 紅華たちは端によけて晴明たちに道を譲り、膝をついて頭をさげた。
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