貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「私もこれから行ってくる。気をつけてお帰りね、紅華殿」

 ふわりと笑うその額にも、汗が光っている。

「晴明様もどうか、お疲れのでませんように」

「ありがとう」

 そうして晴明は、またのたのたと階段をあがっていった。後からついていく官吏たちは、全くこちらを気にしない者、ちらちらと紅華を伺う者、様々だ。肩で息をする晴明を、あきれたように見る官吏も多い。

 だが、晴明も輿に乗らず、この階段を自分の足で登ることを選んだのか。

(この階段を毎日……ただでさえお疲れなのに、皇帝って大変ね)

「では気をつけてまいりましょうか、お嬢様方」

 晴明の言葉をまねたのか、ばか丁寧に天明が言った。その言葉に少しだけ笑いそうになって、紅華はあわてて顔をひきしめた。


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