貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 広間には、多くの官吏が詰めていた。今日は、皇帝の御霊上げの儀式だ。

 皇帝が身罷ってから一週間。この式を経てようやく、亡くなった前皇帝、黎龍可は天に上る。


 御霊上げ自体は晴明のみで行う儀式だが、その後にある新皇帝の宣言の式には、紅華も皇帝の隣に席を用意されていた。

 晴明の姿を待つ間、紅華は集まった人々を見るともなく眺める。

(あそこにいらっしゃるのが、陛下のご兄弟の方々ね)

 官吏とは反対の位置に、白い喪服姿が何人か見える。皇位継承権を持つ、前皇帝の息子たちだ。おそらくその後ろには、その親である元妃たちもいるのだろう。

 向こうからもちらちらとこちらを見ている視線を感じたが、あまり好意的とは言えない視線だった。

 いずれ、紅華が皇子を産めば、彼らの皇位継承権は順に低くなっていく。その分、自分たちの宮城での立場も低くなっていくのだ。

 後宮内でも同じように妃同士での殺伐とした争いが繰り広げるだろうことを想像して、紅華はげんなりとした。

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