貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
(あら?)

 なんとなく視線をさまよわせていた紅華は、ふと気づく。

(天明様がいない?)

 少し距離があってはっきりとは見えないし、あまり凝視することもできない。けれど紅華は、その中に天明の姿を見つけることができなかった。

(こういう式は苦手だとはおっしゃっていたけれど……もう式も始まるのに、どこをふらふらとしているのかしら)


 しばらく待つと、大きな扉が開いて晴明が出てきた。その姿を見て、紅華は目を見開く。

 身内の人々と同じく白い喪服に身を包み、緊張した様子で皇帝らしく顔を引き締めていた。官吏たちが一斉に頭をさげる。

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