貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「いまこそ我々は一つとなり、陽可国のためにつくそう。それこそが、父のため、そして国民のためとなる。新しく皇帝となった私に、どうか力を貸してほしい。そして、共にこの国を導いていこう」

 官吏たちが再び一斉に首を垂れる。

 人々に語り掛けるその声は、いつものように優しかった。きっと晴明なら、優しい皇帝になることだろう。
 だが、その声には人々を圧倒するような力強さはなかった。以前の皇帝を知っているわけではないが、あまりにも凡庸としたその様子は、紅華でさえ皇帝として何かが欠けているような気がした。

『晴明が皇帝になることに反対する一派もいる』

 きっと、こういうところが皇帝に相応しくないと懸念されるのだろう。

(優しいだけでは……人を導くことはできない)

 無意識のうちに紅華は扇を握りしめながら視線をそらしてしまった。


 だから、気付いた。
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