貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 うなだれる官吏たちの中に、一人だけなぜかちらちらと視線を天井に向けている者がいることに。

(?)

 つられて紅華も頭上を見上げる。紅華たちのいる玉座の上には、手の込んだ細工の施された大きな天蓋が飾られていた。

 それが、なぜかゆらゆらと揺れている。


(どこから風が……)

 考えて、紅華はどこの窓も開いていないことに気づいた。


「陛下!」

 素早く椅子から立ち上がった紅華は、上を気にしながら晴明に手を伸ばす。気づいた晴明も紅華の視線を追って天井を見上げた。


 その瞬間、二人の視線の先でその天蓋ががくりと傾いて落下を始めた。とっさに晴明は紅華の手を引いて自分の胸に抱え込むと、横に飛びすさって倒れ込む。間一髪、二人のいた場所に、天蓋が落ちて派手な音を立てて破片が飛び散った。




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