貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「さわぐな。官吏たちは下がらせて、すぐにここを片付けろ」

 紅華が立ち上がるのを助けてくれながら、晴明は短く指示を出す。


「陛下はこちらへ」

 宰相が、数人の侍従を連れて晴明を囲んだ。一緒に連れられて行きながら紅華が振り返ると、晴明のいたすぐ脇に大きな天蓋がばらばらになって落ちていた。幸い気づいてよけることができたが、直撃されていたらただではすまなかっただろう。今さらながらに背筋が冷たくなる。


「陛下、紅華様」

 別室で控えていた睡蓮が、青い顔で走り寄ってきた。心配する睡蓮を連れて、侍従をのぞく四人は近くの一室に入る。

「陛下、お怪我は」

 部屋に入るなり、低い声で宰相が聞いた。

「心配するな、翰林。俺だ」

 晴明のふりをやめた天明が、大きく息を吐きながら長椅子に座る。それを聞いた宰相は、は、として紅華を見てから、睡蓮に視線を送る。睡蓮が無言でうなずくと、宰相は急に態度を変えて天明に向いた。
< 76 / 237 >

この作品をシェア

pagetop