仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 だったらいっそ先に畳みかけてしまおうかと余計なことを考える。

 私が喋り続けていれば、万が一大事な話があったとしてもやり過ごせるんじゃないか、なんて。
 だから振り返って話しかけようとした。

「今日のおかずは――」

「ちょっといいかな」

 ぎゃああと声を出さなかったのは不幸中の幸いだった。

 この切り出し方。間違いなく悪い話に違いない。

 考えたくもないときが来てしまった。

(離婚したくないって言ったら、聞いてくれるんだろうか……)

 そうなったときにどう気持ちを伝えるか考えながら、近くの布巾で手を拭って和孝さんのもとへ向かう。

 断罪される直前の犯罪者とは、こういう気分だろうか。小さい頃、いたずらを隠して親に呼び出されたときでさえこんなに足は重くなかった。

「……なん、でしょう」
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