仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 息をするのも忘れてしまう。

 喉が詰まって苦しい。この先の言葉は聞きたくない。

「大したことじゃないんだけど。……これ」

 うつむいた私の視界の中で和孝さんの手が動いた。カバンから取り出されたものはピンクの紙で包装されている。

(……離婚届ではない、みたい?)

 厚みのあるそれを恐る恐る受け取る。

 手のひらより少し大きい程度のサイズだった。本に似ている。

「開けてもいい……?」

「いいよ。そのために買ってきたわけだし」

(そのために買ってきた?)

 それはどういうことだろうと包装を震える手で開けながら考える。

 開けるため、という意味ではないだろう。となると、私に渡すためという意味でとらえるのが正しいように思える。

 けれど、和孝さんからものをもらう理由が見当たらない。
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