仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 これまでに何度も繰り返してきた、担当夫婦との別れ。その時間が近付いていることを感じながら、また泣きそうになるのを我慢して言葉を伝えようとした――けれど。

「望月さん、もしよかったらうちの息子に会ってくれないか?」

「……え?」

 以前から聞いていた息子さんは今日の結婚式に呼ばれていない。三十過ぎた息子の前で結婚式をするのは恥ずかしい、と旦那様が拒んだからだった。

「ええと、それはどういう……」

「望月さんにはお世話になったから、ぜひにと思ってね」

(本当にそれはどういう意味で言ってるんだろう)

 これは返事に悩んでしまう。

 ご家族に紹介されることも、そこで改めてお礼を言われることも、今まで経験としてはある。
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