仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 身体はしっかりと和孝さんに支えられている。

 背中に感じるぬくもりと、腰に回された腕と、そして和孝さん本人の存在が私を混乱させた。

「これ以上まだなにかあるなら、私が代わりに聞きますが」

「……っ、別に用なんてありませんよ」

 吐き捨てるように言った男性が走っていく。

「あ……待って――」

「紗枝さん」

 伸ばしかけた手を和孝さんに掴まれた。くるりと腕の中で反転させられ、向かい合う形になる。

「どうして君はいつもこういうことに首を突っ込むんだ」

「だ……だって人にぶつかっておいて謝りもしないんだよ。スマホだって壊して……」

「紗枝さんが出しゃばることじゃない。そういうのは本人たちが解決すればいいんだ」

「でも……」

「でもじゃない」

「っ……」
< 263 / 394 >

この作品をシェア

pagetop