仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 だから私は、自分の感情をそのまま口にする。

「う、そ……」

「嘘じゃない。メールのやり取りも全部俺がしてた」

「そんな、どうして。ううん、いつから……」

「最初から。誰かのアカウントを借りてるわけじゃない。もともと俺のアカウントなんだよ、これは」

「嘘」

「だから嘘じゃないって」

 そんなことを言われても理解なんてできるはずもない。

(サキさんが和孝さんで、和孝さんがサキさん? なんでそんなことに――)

 あ、と思わず声を上げていた。

「サキって……皆崎のサキ……?」

「ああ」

(男の人だったなんて!)

 今、この瞬間を迎えるまで完全に女性だと思っていた。

 男の可能性を考えずに会う約束をしてしまったのは失態だろう。さすがに夫だというところまでは予想できないけれど。
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