仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「紗枝さんが自分を隠すのは、俺が嫌いだからだと思ってた。断りきれる結婚じゃなかったし、夫婦としてやっていきたくないって意味かと」

「ううん、私は……」

「もう知ってるよ。全部相談してくれただろ」

「……!」

 そう、私はすべてサキさんに明かしている。

 あの日、和孝さんに一目惚れしたことも、好きだから嫌われたくなくて自分を偽っていたこともすべて――。

「ず……ずるい」

 振り絞るように出た声がそれだった。

「ずるいよ。私のことばっかり……。私は和孝さんの気持ちを知る方法がなかったのに……!」

「伝えるのが遅かったしな、うん」

 くっと唇を噛むと、膝に乗せていた手を包み込まれた。
< 271 / 394 >

この作品をシェア

pagetop