仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~


 夫婦として歩み出してからは、忙しい仕事も捗っていた。

 フェアで行う内容をまとめ、同じチームの子にアポを取ってもらいたい企業のリストを渡す。ひと通りの作業が済んで一段落すると、向かいの席にいた美香が不思議そうに尋ねてきた。

「今日は全然スマホ見ないね」

「え? そう?」

「最近よく見てたじゃん? なんだろうなーって思ってたんだよね」

 指摘されてからたしかにと納得する。

「ちょっといろいろあってね」

「え、そのいろいろが気になるんだけど。旦那さん絡み? そういえば全然もっちーから旦那さんの話を聞かないね」

 これまでだったら、興味津々なその態度に対する返答を悩んでいた。

 そもそも話す内容などなかったけれど、もう違う。

「聞きたい? 純度百パーセントののろけしかないけど」

「うわー。胸焼けしそう」

「聞きたがったのはそっちでしょ?」
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