仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 ゆいくんと呼ばれた男の子が手を伸ばす。女性は男の子の手を握り返しながら、不思議そうに私を見てきた。

「すみません、この子がなにか……?」

(なにか? じゃないと思いますけど。目を離したおかげで大変だったんですよ……って言いたい)

 他人事のような母親にちりちりと先ほどの怒りがくすぶった。でも、それは隠して笑みを作る。

「この子が人とぶつかって転んでしまったんです」

「まあ、そんな……。ゆいくん、、大丈夫だった?」

「うん」

 男の子は母親に会えて安心したからか、もう泣きやんでいた。

「お母さん、いろいろ事情もあると思いますが、目を離さないであげてください。万が一ホテルの外に出ていたら、ぶつかっていたのは人じゃなかったかもしれないんですよ」
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