仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 ことん、と和孝さんの肩に頭を預ける。

 幸い、こんなシーンをみんなに見られることはなかった。空気を読んでふたりきりにしてくれているからだ。

「こんなサプライズをされたら、なにもできなくなっちゃうなーって」

 ネタ晴らしが済んでからちらっと覗いた披露宴会場は、私が好むアンティーク風のもので整えられていた。

 テーブルの上に飾られた花も、内装も、テーブルや椅子に至るまで、夢に見ていた理想の結婚式以上のもので。

「和孝さんのことを喜ばせてあげられないかもしれない……」

 はああ、と溜息を吐くと笑われた。

 よしよしと子供にするように頭を撫でられる。

「前から、紗枝さんにしてほしいことがあるんだ。それを叶えてくれたら喜ぶし、驚くよ」

「なに?」
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