仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 なぜ手を握られ、指や手のひらをふにふにと揉まれているのか理解できない。ただ、私の手を触っている和孝さんがあまりにも満たされた顔をしているから、やめてとは言いづらかった。

 もっとも、私も和孝さんに触られるのが好きだから、お互いに得をしている状況ではある。恥ずかしくなってしまうということを除けば、むしろ最高の状況だった。

「あとで付けてくれるか?」

「……嗅ぐの?」

 おそるおそる聞いてみると、眩しいくらいの笑みが返ってくる。

「もちろん」

 嗅がないという選択肢があるだろうか? と隠す気配もなく笑顔で伝えられ、私も香水を付けないという選択肢がなくなったことを理解した。

 和孝さんはぱっと私の手を離すと、まだ食事中だった私を促すように見てくる。

「先にシャワー浴びてくるよ」
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