仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 こんな私でも受け入れてくれるから和孝さんが好きなのだ。とはいえ、もう少し淑女らしくおしとやかにせねばと反省はしておく。

「香水、付けたよ」

 反応を見たいような、怖くて見たくないような、そんな気持ちになりながら伝えてみる。

 和孝さんはすんと鼻を鳴らしたかと思うと、困ったように口元を緩めた。

「よくわからないな」

(やっぱり足りなかった……!?)

 こうなってはまったく意味がない。急いでもう一度香水を振りかけてくるべきかと思ったところで、私の後頭部を大きな手が包み込んだ。

 ぽかんとした私を見つめたまま、和孝さんはその手を自分に向けてぐっと引き寄せる。当然、その動きに合わせて私は広い胸の上に転がり込んだ。

「ね、ねえ」

「もっと近くで嗅がないとわからない」

「ひっ」

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