仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 至近距離で見えた苦笑を確認したときにはもう、再び唇が重なっていた。

「舌も、噛むか?」

 キスの合間に尋ねられて、唇を重ねたまま首を横に振る。

 身体に力が入らない。和孝さんの胸にすがって支えを求めると、顎を掴んでいない方の手が背中に回った。

「ふ、ぁ……」

 とろんとしながら和孝さんを見つめ、精いっぱい呼吸をする。キスをやめたかと思うと、和孝さんは私の耳に顔を寄せてきた。

「紗枝さんは噛むより噛まれる方が好きだもんな」

 低い囁きの直後に耳朶を噛まれ、全身を電流が走り抜ける。一気に足の力が抜けてへたりこみそうになった。だけど背中に回されていた手が私を支えてくれる。

「ツアーまであと一時間もあるけど、どうする?」

「一時間しかないよ……」

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