仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「それは嫌われるから無理。結婚生活は続けていきたいの」

「まだ嫌われるって決まったわけじゃないのに」

「決まってるよ。私の今までの恋愛、全部それで失敗してるんだから」

「だからそれは男を見る目がなかったからだって」

 うーん、と唸って真里は自分のコーヒーにミルクをふたつ追加した。くるくるとスプーンで混ぜながら、やがて手を止める。

「ほんと、世話が焼ける。……よし、それならこうしなさい」

 びし、と真里がテーブル越しに私の胸元を指で突く。

「今夜、新婚夫婦らしく『夜のお誘い』をするの」


 その夜、私はベッドの中で死にそうになっていた。

(夜のお誘いってなに!)

 真里にはそのぐらいやってみせろと叱られたけれど、そういった経験を持っていない私には方法がわからない。
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