仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 真里が言うように自分をさらけ出すことなどできるはずもない。

 好きだから嫌われたくない。たったそれだけの単純な理由。

 たとえ息苦しい日々であっても、いつかを望んでしまうのはやはり好きだから。

 和孝さんは私との会話を拒まないし、話しかければ応えてくれる。その日に起きたことを話して、一応ふたりで夕飯を取り、そして同じベッドで眠ってくれる。

 決定的に修復不可能な夫婦というわけではない。

 だから私は今も期待し、悩む。

(もう少しいい夫婦になるためには……)

 和孝さんは既にベッドの中で私に背を向けていた。

 同じベッドなのに距離があることも寂しい。毎晩、私たちはうまくいっていない夫婦なのだということを思い知らされる。

(変えたいなら、私が変わらなきゃ)

「……あ、の。和孝さん」
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