仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 おとなしい自分でいようと思っていなければ、いくつも理由を付け加えていたに違いない。

 それをぐっと我慢し、和孝さんの反応を待つ。

(ほどほどに、当たり障りなく……。今日はいつもより会話も長続きしてるし、いい感じのはず――)

「それなら一緒に行けるな」

「……えっ?」

 思いがけない返答は私の思考を止めた。

「一緒に? 行ける?」

「出掛けようと思ってたところがそこだったんだよ」

(そんな偶然ってある……?)

 一度萎んだ気持ちが期待にふくらむ。

「じゃあ、その日は……」

「うん、一緒に行こう」

(やった!)

 本当は飛んで跳ねて喜びを表したいけれど、これも我慢する。

 私は落ち着きのあるおとなしい女性でなければならない。

(自分のことだけじゃなくて、和孝さんのことも考えないと)
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