仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
(え、もう終わり?)

 まだ私のアンティーク欲は百万分の一も満たされていない。

「もう帰るの?」

 押し殺してきた気持ちが多すぎたせいで、こらえ切れなかった本音があふれてしまう。

「結構長くいたし、いい加減飽きただろ?」

(全然そんなことない。あと十時間くらいいられる)

 それを言えば間違いなく引かれてしまうだろう。

(また気遣ってくれてるのかな。別にいいのに)

「和孝さんは仕事で来てるんだから、私のことは気にしなくていいよ。いろいろなものを見るのは楽しいから」

 私が見ているのは家具と、そして和孝さんである。深く思案する横顔はアンティークと同じくらい何時間でも見られそうだった。

 一応、見つめすぎて気味が悪いと思われかねないことから、なるべく盗み見るようにしている。
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