月に魔法をかけられて
「そんなに驚くことはないだろ。俺だって普通にコンビニで飯ぐらい買って食うよ」

「そうなんだ……」

副社長とコンビニという似つかわないイメージに、私は大きく頷きながら、まるで友達に返事をするかのように答えていた。

「美月、俺のことを何だと思ってるんだ? 前にも俺の笑った顔が不思議だとか言ってただろ?」

「えっ? あっ、それは……。でも不思議とは言ってないですよ。違った一面が見れたと言っただけで……」

「同じことだろ?」

「そ、そうですけど……。あの時はまだ副社長のこと怖かったし……」

気まずくなり視線を前に向ける。

「怖い? 怖いってどういうことだよ」

「ど、どういう人かわからなかったから……」

「で、今はもう怖くないのか?」

「は、はい……。彩矢と聡さんのこともあって、友達思いだし、優しいし、笑うし……。あと昨日みたいな意地悪もするし……」

「意地悪?」

副社長は私にチラッと怪訝そうな視線を向けた。
< 163 / 347 >

この作品をシェア

pagetop