月に魔法をかけられて
副社長は手に持っていた携帯をテーブルの上に置くと、マグカップを手に取り、口へ運んだ。
「あちっ……」
熱そうに顔を顰めながら再びマグカップをテーブルの上に置く。そしてゆっくりと私の方を向いた。
「なあ美月。今日はどうする? どこか行きたいところはある?」
目元を柔らかくしながらふわりと微笑む。
会社でも瞳子さんたちの前でも見ることはない、最近2人のときだけに見せてくれる柔らかい表情だ。
この笑顔が私だけのものだったらいいのに……。
そんな思いが頭の中をかすめる。
私は気持ちを振り払うように首を振った。
「いえ。特にどこもありません」
「だったらさ……映画でも見にいかない? さっきから今日は何を上映してるか調べてたんだけど。この中で何か見たい映画はある?」
副社長はテーブルに置いてあった携帯を手に取ると、画面を私に見せた。私は手に持っていたマグカップをテーブルの上に置くと、その携帯を受け取らず、副社長の方へ向き直した。
「あっ、あの……壮真さん……」
ドクンドクン──と心臓が不安そうな音を立て始めた。
「あちっ……」
熱そうに顔を顰めながら再びマグカップをテーブルの上に置く。そしてゆっくりと私の方を向いた。
「なあ美月。今日はどうする? どこか行きたいところはある?」
目元を柔らかくしながらふわりと微笑む。
会社でも瞳子さんたちの前でも見ることはない、最近2人のときだけに見せてくれる柔らかい表情だ。
この笑顔が私だけのものだったらいいのに……。
そんな思いが頭の中をかすめる。
私は気持ちを振り払うように首を振った。
「いえ。特にどこもありません」
「だったらさ……映画でも見にいかない? さっきから今日は何を上映してるか調べてたんだけど。この中で何か見たい映画はある?」
副社長はテーブルに置いてあった携帯を手に取ると、画面を私に見せた。私は手に持っていたマグカップをテーブルの上に置くと、その携帯を受け取らず、副社長の方へ向き直した。
「あっ、あの……壮真さん……」
ドクンドクン──と心臓が不安そうな音を立て始めた。