初恋前夜
 か、かわいい――。
 けど、息が苦しい。……なんだこの気分、吐きそう。
 心臓が早鐘を打つ。
 めまいがしてきた。
 同じだ。全部。
 僕の想像と。
 ――雷に打たれたような衝撃。まさに。
 ……ゆずき。……ゆずきなのか?
「コウくん?」
 彼女が小首をかしげる。
 いったい、何が起こってる?
 プツっ。
 思考停止――。
 僕は表情を固めたまま、無言でゆずきの脇をすり抜け、その場から逃げた。

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