人魚の標本
「そ、そうなの、かいと…?」
「あ、ああ、うん、でも俺は好きな……」
「海斗くん前に言ってたじゃん、朱里のこと大好きだって! 食べちゃいたいくらい大好きだって! 今なら朱里のこと本当に食べれるんだよ⁉︎ ちょっと痛いかもしれないけどちゃんと治るよ! ねえ!」
本当に食べれるって、顔の血の気が引いていくのがわかる。
たしかにさっきわたしは真智とあやめを「食べて」しまったけど人間を食べようなんて正気じゃない。どうかしてる。
それに、そうだ、孝也は。孝也はどうしたんだろう。
「あやめ、孝也はどうしたの」
「孝也くんはうちにいるよ、なんかびっくりしちゃったみたいだから」
それはつまり、孝也はこの状況を知ってるってことだ。受け入れてるかどうかは別として。