どうして・・

···連行


新と美春は、何も語らずに
机の上を見ている用に
私からは見えた。

すると、« コンコン »
と、ノックと共に
事務員の女性が
男性二人を連れて部屋に入ってきた。

年配の男性が
「このバカ女が!!」
と、叫ぶと
美春が
「ひぃっ」
と、息を吸いふるえていた。
新は、そんは美春を直ぐに抱き締める

その姿に、私の息がつまると
一華さんは、私の背中を撫でてくれて
「ゆっくり、呼吸をして下さい。」
と、言った。

その声に新が一瞬後ろを振り向くが
私は顔を見るのも
見せるのも抵抗があり
一華さんに抱きつく形になる。
一華さんに
「大丈夫。大丈夫ですよ。」
と何度も優しく声をかけてもらう。
父と母も心配しているのがわかる。

先生は、
「服部さん、池谷さん
どうぞ、お掛けになって下さい。」
と、言った。

ああ、この人が美春の父親と旦那さん
だとわかった。

少し落ち着くと
一華さんに
「ありがとうございます。すみません。」
と、言うと
一華さんは、頭を横にふった。

「それでは、確認いたします。
あなたは、美春さんの父親
服部 三好さんで間違いありませんか?」
「ああ、そうだが。
何で、わしが弁護士事務所に
呼ばれないといけないのかな?」
と、言ったが先生は、
「そして、あなたが
美春さんの夫である
池谷 春彦さんですね。」
と、若い方の男の人に訊ねると
「はい、そうです。
この男が美春の浮気相手ですか?」
と、新を見て言った。

浮気の言葉に新はびくっとなるが
そうなるんだな
と、私も改めて気づいた。

先生は、美春の父親の前に
書類を置いた。
その書類の内容がスクリーンに出る

お金のやり取りの書類だ。
美春の父親は国会議員をしているらしい。

池谷さんは、大きな製造会社を
経営している。

美春をどこかで見て
欲しいと思った事が始まりで
美春の父親に願いでた。

美春の父親は、結納金と称して
何千万もの金を手にしていた。

それは、全て選挙資金や事務所の
運営に回されていた。

その内容の書類が提示されて
「こんなもの偽物だ。」
と、騒いでいたが
« コンコン »と、ノックと共に
男性が、数名入ってきた。

「服部 三好、証拠は揃いました。
ご同行願いたい。」
と、男性が言うと
「旭、少し待ってくれ」
と、先生。
「服部さん、あなたは
ご自分の娘である美春さんを
売ったのですから
もう、美春さんはあなたの子では
ありませんね。
それでしたら、こちらに記入を
お願い致します。」
と、言った。
スクリーンには、
協議離縁と記載されていた。

警察の方に言われて
美春の父親は、しぶしぶ書類に
サインをした。

そして、美春への接触を禁止する
書類も書かされた。

それを見届けてから先生は
「旭、すまないな。」
と、言うと
「それでは、連行いたします。」
と、先生に言い
「一華、先に言ってるから
お前も後で来いよ。」
と、一華さんに向かって言うと
「おまえが、一華を呼び捨てに
してんじゃねえ。」
と、先生が言うと
「あっ、はいはい。
哲也さん、協力したじゃないですか?」
と、言いながら
男性は、私をちらりと見て微笑んでくれた。

すると、一華さんが
「旭、彩羽さんが綺麗だからって
真優さんに言いつけてやるから。」
と、言うと旭さんと言う人は
青くなって出て行った。

男性二人に美春の父親は
挟まれて後に続いた。

それを見届けると
一華さんから
「私の同僚で検事です。
腕はたつのですが。
私の元旦那でして
浮気をしたので
さっさと別れちゃいました。
そしたら、てっちゃんが
こんな中古でボロボロの私を
拾ってくれたのです。」
と、言うからびっくりして
一華さんを見ると
少し困った顔と恥ずかしそうな
顔をしていた。
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