どうして・・

···意識を失う


すると·······

大好きな人の声····と···温もりが····
「····律····」
「彩羽、愛してる。」
少し息切れをしている
急いで来て···くれた···?
「大丈夫か?」
と、優しく訊かれる
うん。とやっと頷けた·····

すると
「あなた達は、何をしているのですか?」
と、低い声
お客様相手の仕事をしている
父は、いつも、わかりやすく且つ
温厚な話し方をする。
その父が····

彩音は、母と一緒かな
佑は?と思っていると····
「ママ!!」
と、私の手を握る佑に
「トイレ、おばあちゃんといけた?」
と、訊ねると
うん。と言いながら
心配そうにしている
律が佑の頭を撫でているのがわかる。

父の問いかけに
二人は·····
「美春?」「新?」
と、お互いに·····

「ここから···
彩羽から離れて下さい。
あなた達は、彩羽には
近づけないはず。
もちろん、私と妻にも」
と、父が言う。

この内容で、律にも律の両親にも
わかったはずだ。

お義父さん、お義母さんを
巻き込んで申し訳ないと
思っていると·····

「やはり····」の、声····

「「「「「先生!!」」」」

「彩羽さん、大丈夫ですか?」
と、一華さんの声が聞こえた。

目を開ける事に抵抗があるのか
目は閉じている
「·····なんと···か···」
その間も律が頭にキスを落とし
愛してる。と繰り返し
支えてくれる。

佑は、私の手を握り閉めているが
雰囲気で奥菜先生を見ても
黙ったまま様子を見ている
「····彩音は?···」
と、口にすると
「彩音は、おばあちゃんに抱かれて
眠っているよ」
と、佑に教えてもらい。
ホッと、した。

ダメなんだろうか····
私は、まだ、乗り越えられて
いないのだろうか·····
情けない·····
もう、何年も···経っているのに····
涙が落ちて行く·····
律っ····りつ····助けて···

「彩羽っ、いるよ、ここに···
俺は、離れない。
ずっと、彩羽と共に
好きだよ、大好きだ。」
「·····わたし···も·····」
と、言うと意識が遠退いた。
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