ニセモノの白い椿【完結】
こうして二人が並んでいる姿を改めて見ると、お似合いの二人に見えて来た。
最初は、あまりにタイプの違う二人でしっくり来るという感じがしなかった。
どこか冷たささえ感じる強面の榊さん。そして、ふんわりと人を包み込むような雰囲気の雪野さん。
でも、その温かさに、榊さんは溶かされたのだろう。
お互いがお互いを補い合って、惹かれ合ったのかな。
雪野さんも榊さんも、お互いのことを本当に大好きなんだろう。
これだけ短い時間でも、ぷんぷんと伝わって来る。
夫婦になるべくしてなったのかもしれない。
「――で、木村。生田さんとは友人だということだが、それって一体、どんな感じなんだ? 俺には、異性の友人などいたことがないから、興味がある――」
「ご、ごほっ――っ」
榊さんの言葉に、思わず口にしていたものを喉に詰まらせそうになってしまった。
慌てて胸をとんとんと叩き口元を押さえる。
「大丈夫ですか?」
「は、はい。何でもありません」
榊さんが本気で心配そうに私に視線を向ける。
それで分かった。わざとでもなんでもない。無邪気に疑問に思って木村に問い掛けたということ。
木村がどう答えるのかと、勝手に心拍数が上がって来る。
「どんな感じ? 別に、そんなに難しいものでもなくて。大事にしたいと思う人。そういう存在だってことだ」
――大事にしたいと思う人。
その言葉に、戸惑いを感じる。
咄嗟に感じた思いは、嬉しいということ。でも、すぐに、その感情は消える。
あくまで、それは”友人として”の木村の思いだ。
「……やっぱり、俺には難しいな。大事にしたいと思う存在で、そのうえそれは女で。そんな感情は、俺は雪野にしか抱かない。じゃあ、雪野と友人になりたいかと言われれば、友人になんかなりたくないしな。友人だと、俺だけのものにできなくなる」
さすがの、オレ様発言――。
でも、分かる。そう考えてしまう気持ち、痛いほど理解出来てしまう。共感してしまうということは、私が既に、木村に対する感情が友情からは逸脱しているからだ。
「創介らしい発想だな」
木村がふっと笑う。
「みんながみんな、おまえみたいに単純な思考の持ち主じゃないんだよ。確かに恋愛だと自分のものにしたいと思うだろう。でも、俺にとっては生田さんが幸せになってくれることが何より大事だってこと」
そうだよね――。
これまでずっと、木村はそういうスタンスだった。
出会ってからずっと、”友人として見守っている”と、木村は言い続けていた。
以前は、そう木村から言われても何も思わなかったのに。
私は今、確かに胸が痛んでいる。
でも、私は大人だから、この胸の痛みを表情に出したりはしない。出したりしてはいけない。
「単純で悪かったな。さっぱりわからん」
榊さんが頭を横に振りぼやく。
「……形が違うだけで、同じなんじゃないでしょうか」
そこで、雪野さんがおもむろに口を開いた。