ニセモノの白い椿【完結】

「同じとは?」

「関係に付ける名前は違うのかもしれないけど、相手のことを大事に想っているということは同じでしょう? 人それぞれに、相手を想うやり方があるんだと思うの」

雪野さんの真っ直ぐな視線が私の胸に入り込んで来る。

「さすが、雪野ちゃん。よく分かってるねー」

表情一つ変えずに木村が笑う。

「世の中には男女の友情だってたくさんあるの。創介にはその発想すらないだろうけどね。俺はね、生田さんにようやく友達になってもらえたの。余計なことを言って、生田さんを困らせないでくれよ」

木村が榊さんに文句を垂れていた。
それが木村なりの気遣いでもあるんだろう。

「男女の友達って、結構楽しいものなんですよ。気を使ったり、相手に良く見せたいとか、そういう背伸びをせずにすんだり。それでも味方でいてくれるんだっていう安心感だったり。友情ならではだと思います。それに、木村さんは年下なので。弟みたいな感じもして。出会って間もないですけど、もうずっと昔から知っているような気さえします」

だから、私もそう伝えた。
嘘じゃない。それも私の気持ちだ。
だけど、やはり、胸の奥がチクリとする。

「弟か……。私、弟がいるので、なんとなく分かります!」

雪野さんが場を和ませるように明るい声をあげた。

「本当に? 私も、弟いるんですよ。でも、私の弟は生意気なだけで、全然可愛くないですけど」

「私の弟も、なぜかいつも上から目線で。年下のくせに、説教じみたことばかり言って来るんです!」

物静かなタイプに見えた雪野さんが意外にも勢いよく私の話に食いついて来た。
それが、なんとなく嬉しくて。

「分かります。弟っていう存在はどうして、ああも姉に偉ぶりたがるんですかね。うちの弟なんて説教を通り越して、大人になってからは、冷めた目でちらりと見て来るだけで相手にもしませんよ。姉の苦労を知らないんだから」

「そうそう。いつも母親に怒られるのは姉の役目みたいなもので。その陰で、上手いことやる術を覚えるんですよね、弟って。何でも要領よくこなしちゃう。母にとっても弟って異性だから、どこか甘いし」

「あーっ、分かる分かる!」

弟持ち姉という共通の立場のおかげで、意気投合した。



< 131 / 328 >

この作品をシェア

pagetop