ニセモノの白い椿【完結】
「雪野、今日は饒舌だな。そんなこと言ったら、優太君が可哀想じゃないか」
榊さんが、そう言いながらもどことなく嬉しそうで。
その表情が、少しだけ不思議に思えた。
「そうだそうだ。俺は姉がいる立場だからね。こんな言われようだと反論したくなるな」
木村も参戦して来る。
「木村さんって、お姉さんがいたの?」
「言ってなかった?」
聞いていない。
でも、確かに。言われてみればそんな感じがして来る。
木村の女性に対する接し方なんか、フラットそのものだ。身近な存在に女性がいるからこそのものだろう。
「弟の立場から言わせてもらえば、姉だって厄介な存在だよ。何かにつけて弟を使おうとするし、気分がいい時だけすり寄って来て、機嫌が悪い時はけむたがり。ご機嫌うかがうのも大変なんですよ」
「そういうところが生意気なんだって。雪野さんも、そう思いません?」
「思います!」
雪野さんが間髪入れずに即答する。
「なんだよ、みんなして。おい、創介。おまえは俺の肩を持て」
「俺には姉なんていないからな。おまえとは立場が違う」
そう言ってあっさり木村さんを切り捨てるから、みんなで笑った。
胸の奥に鈍い痛みはまだ残っている。
でも、こうして笑っていれば、その痛みも忘れられた。
食事を終えて、男性陣はリビングルームへと移り、木村が手土産に持って来たワインを開け初めていた。
雪野さんがテーブルの食器を片付けているのが目に入り、私もすかさずそこに手を差し出した。
「大丈夫ですから、生田さんもあちらでくつろいでいてください」
「いえ。なんだか男同士で楽しそうだから。私にも手伝わせてください」
笑顔でそう答えると、雪野さんもリビングの方に視線を移す。
「本当だ。あの二人、結局、仲がいいんですよね……。じゃあ、すみません。よろしくお願いします」
雪野さんが微笑んでくれた。
二人で並んでキッチンに立つ。この日初めて会った人だけれど、醸し出す雰囲気が優しいからかとても話やすい。
「……確か、榊さんと木村さんって子供の頃からの友人なんですよね?」
食器類をシンクに置きながら、雪野さんに問い掛けてみた。