ニセモノの白い椿【完結】


「生田さんが作ってくださったんですよ―!」

雪野さんがトレーに載せた”ブロッコリーとジャガイモのマヨネーズ炒め”をリビングへと運んだ。

「生田さんが作ったの? 生田さんの料理は絶品だからね。食べて食べて」

どうしてあなたが誇らしげなんだいーー。

と心の中で呟く。

「マジで、美味いから」

「お……、本当だ。美味しいです」

榊さんからお褒めの言葉をいただく。

「良かったです」

「生田さん、あんなにぱぱっと作っていたのに、すっごく美味しい!」

かわい子ちゃんが可愛い顔をして頬張るから。お母さんみたいな気持ちになって来てしまう。

「赤ワインに合うと思うので。お酒と一緒に」

目の前の三人が、ワインもそこそこにあっという間に料理を平らげてしまったのに驚いた。

それから四人でワインを飲みかわしながら楽しく会話をして。
この豪華な家に暖かみを感じるのは、雪野さんの人柄のおかげなんだと納得し、過ぎていく時間を忘れてしまうほどに楽しいひと時を過ごした。



「今日は、お邪魔しました」

玄関先で、木村がいつもより大きい声になって笑顔を振りまいていた。

「私も、突然お邪魔したのに、ありがとうございました」

ここで泥酔しては大変だと自重したため、ほろ酔い気分くらいでとどめている。
最後にもう一度礼儀正しく頭を下げた。

「生田さん。今日は、とっても楽しかったです。たくさんお喋りできて嬉しかった!」

雪野さんが本当に嬉しそうにそう言ってくれるものだから、ついその頭を撫でたくなる。
撫でたくなるが――。

「本当に、雪野は楽しそうだったな」

私がそんなことをするまでもなく、旦那さまがぽんぽんと雪野さんの頭に触れていた。

何、そのラブラブっぽいやつ。見た目が怖い人がそういうことすると、破壊力半端ないんですけど――。

「はいはい。いちゃつくのは、俺たちが帰ってからにして。雪野ちゃん、またね」

木村が慣れた様子であしらい、すかさず雪野さんに笑顔を向けていた。

< 137 / 328 >

この作品をシェア

pagetop