ニセモノの白い椿【完結】



木村にそれとなく、聞き出してみよう――。

そう決心した。

「冷しゃぶサラダ、暑い日には、最高だね。それに、絶品!」

少し遅めの夕食を取る食卓の向かいには、相も変わらず天下一品の料理を食べているかのような表情をしている木村がいる。

「冷しゃぶサラダなんて、簡単な料理だよ。ホント、大袈裟」

「簡単かどうかなんて関係ないでしょ。美味しいかどうかだ。生田さんの作る料理は、本当に全部、心に沁みる美味しさだよ」

口の上手い木村の発言に、むしろこちらの方が最近ではいちいち心に沁みる。

「――あのさ」

気付かれないように小さな深呼吸をして、切り出した。

「この前、榊さんの話をしたときに思ったんだけど」

「榊? ああ、創介のこと?」

さすがに白石さんから聞いたとは言いたくなくて、適当な理由を探す。

「榊さんのような家の人は、結婚相手も決まっているって言っていたでしょ? それなら、木村さんはどうなのかなと思って。木村さんだって、十分特別な家柄なわけで。そういう人がいても不思議じゃないなと……」

自分で口にしていて、またもお門違いな胸の痛みを感じる。
考えれば考えるほど、私と木村とでは友情以外の関係は築けない。

「……ああ」

ついこの瞬間まで、美味しそうに幸せそうな顔をしてたのに、一瞬にして表情が翳る。

「さすが生田さん、鋭いね」

木村のどこか苦々しい笑みに、私の心臓が勝手に激しく動きだした。






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