ニセモノの白い椿【完結】
「……やっぱり、友人じゃあ、そんな気になれないよね。こんなに近い関係じゃなかったら、勢いでできたのかな。ああ、でも……」
なんだろう。この虚しくて、惨めな気持ち。
友人として大事にしてもらうことよりも、たった一度でも女として見てもらえる方が良かったなんて思っている。
「木村さんと初めて会った日、このベッドで一緒に寝た時でさえ、何もなかったんだから、私と木村さんじゃ起こり得ないことなのかも」
「生田さん――っ」
私に背を向けていた木村が私に振り向く。
でも、もう木村の顔を見られなかった。
ベッドから立ち上がり、木村の声を遮った。
「酔いは醒めたのかもしれないけど、かなり飲んだことには変わりないでしょ? たくさん水飲んでおきなよ。じゃあ、おやすみ」
木村の前を過ぎる。
寝室を出ようとしたところで、声がした。
「迷惑かけて、ごめん」
「ん」
振り返らずに部屋を出た。
自分の部屋に戻り一人になって、どれだけ自分の心臓が荒くれていたか実感する。
思わず胸に手を当てた。
「そっか、私、こんな格好してたんだ……」
その時、どこのものかよく分からないTシャツにジャージーのズボンという自分の姿を思い出す。
「これじゃ、色気もへったくれもないって」
あははとわざと笑い声をあげる。笑い飛ばさないと、どうしようもなく落ちて行きそうで。
乾いた声が濡れたものに変わって、タオルケットを頭からかぶった。