ニセモノの白い椿【完結】
そこは、ニューヨークのハドソン川沿いにあるモダンな教会。
白い壁の明るい内装が、二人の未来を表しているみたいだった。
祭壇の前に立つ眞の背中を見つめる。
光沢がかったネイビーのシンプルな衣装が、眞の涼しげな顔立ちに似合っていて。
ピンとした背中が、男の責任と覚悟を滲ませていて、悔しいが男らしく見えてしまった。
そんなことを思っていると、扉が開く音がする。
一斉に、両家の家族がそこに視線を向けた。
光を背に浴びて現れた沙都ちゃんは、本当に、綺麗。
沙都ちゃんらしい、無駄な装飾の一切ないアイボリーのシンプルなドレス。
それが、彼女の隠し持つ美しさを余すところなく引き出していた。
伏し目がちにバージンロードを歩くその顔も、匂い立つような綺麗さで。
あの日、眞がニューヨークに旅立つ日の、彼女の酷い恰好と涙の顔が思い出されて、自然と涙が込み上げる。
臆病で逃げてばかりで自分自身を信じてあげられなかった彼女が、愛している人の元へと向かうその姿は無条件に胸を打つ。
そんな彼女を待つ、眞の眼差し。
クソ弟だけれど、感動して仕方がない。
お父様が沙都ちゃんを眞へと引き渡す。
その様子に、今度は違う胸の痛みが生じた。
それを見ている私の父親が、目を潤ませていたからだ。
きっと、私の時のことを思い出している――。
そう思って、胸が痛かった。
同じ光景を、約2年前、父親は見た。
その時、恥ずかしいほどに目を赤くしていたのを思い出す。
娘を嫁に出して、永遠の幸せを願ったはずで。
それなのに、あっという間にその幸せは終わってしまった。
父にも母にも、そんな自分を見せなければならなかった。
それって、かなり親不孝なことだったのだと、眞と沙都ちゃんの姿を見て気付く。
本当に、ゴメンーー。
心の中で、そっと両親に謝った。