ニセモノの白い椿【完結】
「沙都ちゃん。本当に幸せになれてよかった。もし、眞が何かおかしなことしたらいつでも私に言って? 速攻しめるから」
「はい」
「おかしなことなんてするかよ」
だろうね。そんなこと百も承知。
「――でも、良かったです」
「ん? 何が?」
沙都ちゃんが、私の真正面に立ち呟く。
「この前、東京で会った時と違って、今日のお姉さん、とても元気そうだから」
「え……」
つい沙都ちゃんの顔をまじまじと見つめてしまう。
「そうだよ。今日のアンタ、気持ち悪いほど機嫌いいし。なんかいいことでもあったの?」
眞までもがそんなことを言う。
「別に、何もないけど。だいたい、二人の晴れの日なんだから機嫌いいに決まってるよね? 何言ってんのよ」
この顔に何か、出てる?
急速に焦る。何かを滲ませてしまっているのだとしたら、恐ろしい。
自分ではそんな意識はまるでない。
「あっそ」
「そうよ」
この二人、意外に鋭くて焦る。
「人のことはいいから、二人とも、いつまでも仲良くね!」
私のようにはならないで――って、そんな心配は二人には無用だけれど。
「言われるまでもない」
本当にクソ弟だ。でも、今日だけは許してやることにする。
頭上に広がる真っ青な空に、二人の永遠の幸せを心から願った。