ニセモノの白い椿【完結】

「何があっても、俺はあなたのことだけを考える。それは絶対だ」

その鋭い眼差しが、私の心にべったりと張り付いている不安や引け目に光を当てる。

「だからどうか、俺を信じてほしい」

どうしてこの人は、こんなにも私を包み込むんだろう。
正直なところ、この先の木村との未来なんて容易に想像なんて出来なかった。
それでも、構わないと思っている。こうして愛してもらえたことで十分で。
それなのに、いとも簡単に私の心を揺さぶる。
木村が鋭かった視線をふっと緩めると、冗談交じりに囁いた。

「俺たちの近くには大先輩がいるだろ? 親に逆らって結婚した大先輩が」

「大先輩……?」

木村が心底楽しそうに答えた。

「創介だよ。困ったら創介にアドバイスもらおうか。でも、あいつに恋愛がらみのことでレクチャーされるのは腹立つな。女心なんてこれっぽっちも分からない奴だからね」

その言いぐさに、ついつられて笑ってしまう。

「この先、苦しい局面にぶち当たることもあるかもしれない。でも、これだけは約束して」

笑っていた木村が真顔になって、指、一本一本を確かめるように私の手のひらを握りしめた。

「絶対に離れないって。いいね?」

その眼差しの強さに、私は考えるより前に頷いていた。

「――ありがとう。大切にするから」

握りしめた手を引き寄せ、木村がそっと唇で触れる。

その気持ちだけで私がどれだけ嬉しいか、木村は分かるかな――。

「生田さんの幸せに笑う顔を見たい。俺は、そのために隣にいたい」

こんな風に誰かに愛される日が来るとは思っていなかった。
だから、この瞬間だけで、私は最高に幸せな女になれたと思う。

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