ニセモノの白い椿【完結】
食べ終わって、「俺がやるからいい」という言葉を追いやって二人並んで食器の片づけをする。
なんだかんだと言いつつも、やっぱりこうして二人で過ごせる時間は幸せで。
心から満たされる。
風呂から上がる時、持って来た部屋着を見て考え込んだ。
さすがに、以前のように上下ちぐはぐのTシャツとジャージーのズボンという格好は憚られて、違うものを持ってきたのだけれど。
それもそれで、気付かれたら恥ずかしい気がして来る。
そんな些細なことを気にする私は、十代か! と自分に突っ込む。
「バカバカしい」
敢えて声に出してそう言って、勢いよく服を着た。
「お風呂、出ました」
「ああ、じゃあ、俺も入って来る――」
ソファに座っていた木村が立ち上がり、私を見た。
「な、なに」
「いや、別に」
そう言って木村はすぐにバスルームへと行ってしまった。
良かった。特に何も気にしていないみたいだ。
それもそうだ。私が着ているのは、上下セットの巷ではごくごく普通のパジャマだ。
ホッとして、木村と入れ替わりにソファに腰掛けた。
何気なくスマホをチェックしていると、受信したメールが飛び込んで来た。
それは、眞からのものだった。
(結婚式の時の写真送る)
相変わらずの素っ気ない文章。
まあ、あの男に丁寧なやり取りなど期待していない。
開いた写真は、どれも、皆が笑顔だった。
一枚一枚、思い出しながらその写真を見つめる。
そうだよね。結婚式の写真って、誰もが笑顔だ。
人生で幸せな瞬間を、まさに切り取ったもの。
この写真、いいなぁ。
沙都ちゃんの笑顔が美しい。隣に立つ眞がレアな笑顔を全面に押し出している。
「――楽しそうだね」
「えっ?」
気付くと、すぐ横に木村がいた。
髪はまだ少し濡れている。
それが、いつもより色気を漂わせて、また私の心拍数を上げる。
白い無地のTシャツにスエットのようなものを着た木村が、私の隣に腰掛けた。
「何、見てるの?」
「写真だよ。弟の結婚式の。今、ちょうどメールで送られて来たの」
「俺も、見てもいい?」
そう聞かれて、もちろん「いいよ」と即答した。