ニセモノの白い椿【完結】
「……これが、”クソ弟”?」
「そうだけど」
木村が一瞬の間の後、再び口を開いた。
「さすが、生田さんの弟だね。想像以上の、とんでもないイケメンだ」
「まあね。昔から、無駄にイケメンなんだよねー。これで、頭までいいのよ。大して勉強しなくても出来ちゃっていう人種。腹立つでしょ? 何でもできるくせに、いっつも人生つまらなそうな顔しててさ」
「それにしてはこの写真、最高の笑顔だね。本当に幸せそうないい写真……」
隣に座る木村が、私のスマホを覗き込んで来る。
沙都ちゃんと眞のツーショット写真をまじまじと見ていた。
「だって、そんな男にとっての人生最高の瞬間だからね」
眞にとって、おそらく、人生で最高に幸せな日だということは間違いない。
「あっ、こっちの写真は、生田さんも写ってる」
「そうそう、この写真酷いでしょ? 弟に撮らせたんだけど、私がほとんど写ってないの!」
沙都ちゃんと私、二人の写真を眞に撮ってもらって、その後確認してみたら――。
その写真のほとんどは沙都ちゃんの姿で占められていて、私の身体は欠けた状態で写っている。
それは、眞の心のアングルそのものだ。
「これは、確かに酷い」
「そうだよね? ほんと、ふざけてるでしょう?」
そう木村に笑いかけると、思っていた以上にその顔が近くにあった。
木村が私に身体を寄せてスマホを覗き来んでいるから、背中のすぐ後ろには木村の身体の気配を感じる。