ニセモノの白い椿【完結】
「俺的には腹立つけど、弟さん的視点に立てば理解できる」
そう言って笑う木村の横顔から、慌てて視線を逸らした。
「ホントに、彼女のこと大好きなんだな」
「そ、そうなのよ。溺愛もいいとこ」
アハハと必死に写真を食い入るように見つめながら笑う。
ダメだ。今、木村と視線を合わせてはいけないような気がする。非常にそんな気がする。
「……でも、半分以上欠けてても、生田さんは最高に綺麗」
「そ、そうね。それが美しさたるゆえんかな、アハハ……」
視線を感じる。すっごく感じる。見なくても分かる。
だからなんだというんだ。
見つめ合うぐらいなんてことないよね。
だって、つい四日前はあんなことやこんなことをし合った仲なんだから――!
そのはずなのに。
身体を重ねてから、むしろ、以前よりずっと緊張してしまう気がするのは気のせいだろうか?
「――生田さん」
「ん?」
「生田さん、こっち見て」
「は、い……」
木村の長い指が私の顎に添えられる。
上へと向けさせられた視線の先には、私の目を真っ直ぐに見下ろす木村の顔――。
まだまだ慣れない。
でも、考えてみれば、こんな距離感で接するようになってまだ三回目で。
ドキドキするに決まっているんだ。
「生田さんは、どんなの着たい?」
「な、何を」
「ドレス」
「はいっ?」
おかしなほどに声が裏返る。
それを誤魔化したくても、その指が私の顔をがっちり固定している。
少し濡れた乱雑な前髪の間から、じっと見つめる目が私を逃してくれない。
「ど、どれすって、ウエディングドレス?」
何を言い出すのかと、焦って変なイントネーションになってしまった。
「それ以外に何があるの」
「い、いや、一度着た身だし、二回も着るのは、どうかな」
そう答えると、一瞬、木村の目が揺れた。
でも、それ振り切るように木村が目を閉じると、次の瞬間にはその目が私を切なげに見つめる。
そして、じりじりと追い詰められて、
スマホを片手に持ったまま逃げるように、身体を倒して行く。
「俺が見たいって言っても……?」
「何の話よ……って、それより、この体勢辛いんですけど――っ」
そう訴えた時には、ソファの上に組み敷かれていた。
私は目を見開いて木村を見上げる。