ニセモノの白い椿【完結】
一つになった後、お互いの弾んだ胸と汗ばんだ肌を感じて、抱き合う。
「――また俺、途中から余裕なくなったな。ホント、情けない。ゴメン」
私を優しく抱きしめながら、木村が呟く。
その胸に抱かれながら、心地よい気怠さに包まれる。
「ゴメンって、何が?」
「結局、そのままソファで……」
「ホントだ。今、気付いた」
ふふっと笑う。
どれだけ、夢中だったんだか。
「俺、そんなにがっつく方じゃないんだけどな」
心底参ったように木村が呟くから、つい笑ってしまった。
「確かにね。女の子にモテないように黒縁眼鏡して生きてるような人だし?」
「そうだよ。実際、それで困るようなこともなかったし、全然平気だった。なのに、あなたを前にしたら、俺、人格変わるみたいだ。いつでも触ってたい、抱きたくてたまらない」
そう言うと、抱きしめる腕に力を込めて、私の肩に顔を埋める。
「ずっと、自分のものにならないと思い込ませている人と、友人として付き合って来たから。その後にこういう関係になると、余計にたまらなくなるのかも。感動もひとしお? そんな感じ」
反動……なのか。
腰を強く引き寄せられて、きつく抱きしめられる。
「生田さんが、可愛くてたまらないんだ。好きだという気持ちを抑えなくていいんだと思ったら、抑えつけていた分溢れまくって自分でもどうしようもない」
鎖骨の当たりで動く木村の唇がくすぐったい。
「いい大人が、どうしたものかと思うけど。少しでも傍にいて欲しくて。離れた瞬間から会いたくなって。なんだろうな、この飢餓感みたいな感じ」
「一緒に暮らしていた時間があるからかな」
木村の柔らかな髪に指を差し入れる。
「――あんなに毎日顔を合わせていたのにな。あの頃は何もできなかった」
「そうだね」
こうして素肌のままで抱き合う時間が、私の意識を少しずつ変えていく。
友人じゃなくて、恋人としての木村を。
「……また、一緒に暮らそうか」
「え……?」
ゆっくりと木村の髪を撫でていた手を止める。