ニセモノの白い椿【完結】
腕の中に閉じ込めた生田さんは、いつもより小さく感じて胸の奥がじんとする。
焦がれ続けた存在に、触れれば触れるほど気持ちが昂ぶって、重ねた唇はすぐに深く進入して強く吸う。重ねた隙間から漏れ出る微かな喘ぎに、どうしようもなく欲情して。
キスだけーー。
そう思ったはずなのに、止められない。
ここに来てまだほんの数分。
落ち着けとどこか遠くからたしなめる声が聞こえるのに、目の前の彼女を見れば、そんな声はかき消される。
「き、木村さんーーっ」
食べ尽くしてしまいそうな勢いで激しく耳をなぶれば、解放された唇から声が漏れる。
その声が甘く濡れている。
もっと聞きたい。もっと聞かせてーー。
声をこらえようと口元を押さえる彼女の手を素早く奪い、腰を引き寄せた。
そのまま床に座り、彼女と向かい合うように俺の上に跨がらせる。
少し見上げる位置にある生田さんの顔は、たまらなく色っぽい。
俺のせいで濡れた赤い唇はゆるく開き、切なくしかめた眉の下にある大きな目は、憂いをたたえるように伏せられていた。乱れた髪が、激しい行為を連想させてーー。
その全部が、俺の欲望を膨れ上がらせる。
腰を強く引き寄せて、目の前に迫ったくっきりと浮き上がる鎖骨に吸い付く。
片方の手のひらで激しく彼女の身体を這いずれば、そのたびに身体を跳ねさせた。
無意識なのか、俺の肩に置いた手は、食い込むように力が込められ必死にすがりついて。
エプロンの中に隠れている薄手の服のボタンを夢中で外し、肩をさらけ出す。
首筋に、鎖骨に、肩に、絶え間なく舌を滑らせ、膨らみに近づいて行くーー。
ーーーピピピピピ。
突如、無機質な機械音が乱れた吐息が漂う部屋に鳴り響く。
無視ーー。
欲望にまみれ溺れた俺はそうしようとしたけれど、一向に鳴り止まない音が、俺にそれを許してはくれなかった。
「ご、ごめんね……っ」
生田さんが大きく息を吐いた。