ニセモノの白い椿【完結】
「えー。内緒」
「教えてよ」
「どうしようかなー」
もったいぶる椿の首筋に舌を這わせた。
「きゃっ。ちょっと!」
「教えてくれるまで、やめない」
首筋だけじゃない。腰のあたりも手でさすり、くすぐる。
「だめ、くすぐったい。やめてっ」
「じゃあ、教えて」
「ひやっ」
悶えて身体を丸める彼女が、ようやく降参した。
「分かった、分かったから、やめて! さ、最後の日です。深夜。木村さんの寝こみを襲いました……っ」
きゃっきゃと言いながら打ち明けてきた彼女の発言に、俺の動きは止まる。
「――え? あれ、俺の夢じゃなかったんだ……」
あの日。俺は夢を見た。何故か彼女の方からキスしてくれるという、なんとも都合の良い夢。
叶わぬ願望が、とうとう夢にまで見させたかと、呆れていたのだ。
「ごめん、椿」
目に涙を滲ませて笑う彼女をきつく抱きしめる。
「な、何っ!」
「ううん。ただ、抱きしめたくなっただけ」
最後の夜、どんな気持ちで俺にキスしたのか。そう思ったら、抱きしめずにはいられなくなった。
これからは嫌ってほど甘やかすから。
俺の手で、その笑顔を守るから。