ニセモノの白い椿【完結】


――ん。

ふっと、意識が飛んでいたみたいだ。
本当に寝てしまっていたらしい。

慌てて瞼を開けると、すぐ真正面に目を閉じた椿の顔があった。

もしかして、椿も寝てる――?

その身体は不安定に、ゆらゆらと揺れている。
俺の頭を膝に載せながら、うつらうつらとしてしまったのだろう。

前の晩、遅くまで寝かせてあげられなかったから無理もない。

長いまつ毛に縁どられた閉じた目と、微かな寝息を漏らす唇を見つめる。
起こさないようにそっと膝から頭を上げ椿の隣に座ると、ぐらぐらと揺れる椿の身体をゆっくりと俺の肩へともたれさせた。

起こしてしまわないかとヒヤヒヤとしたけれど、彼女の瞼が開くことはなかった。
そのことに、こっそりと息を吐く。

規則的な呼吸を感じながら、椿の肩を抱いた。
こんなささやかな時間が何にも代えがたいものになる。

椿も同じ気持ちでいてくれれば、その時間が積み重なることによって、二人の関係が確かなものになるんじゃないか――。

そうやって二人で過ごして行こう。

そして、俺と一緒にいることが自然なものになって心から安らげるように。
俺はひたすらに愛情を注ぎまくろう。

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