ニセモノの白い椿【完結】
「……ただ、キスしたかっただけかも」
「バカ」
「うん。バカです」
そう言うと、椿がころころと笑った。
「もう、日曜が来たんだな。あんなに楽しみにしていたのに、あっという間に時間が経ってる。ずっと一緒にいたから離れがたい」
また、離れなければならない時間が見えて来た。あんなに浮かれていた心は急激に萎んで行く。
一緒に暮らしたい――。
椿と過ごしたこの三日間、何度そう思ったか分からない。
「……ホント。寂しいもんだね。またすぐ会えるのに」
椿も名残惜しそうにしみじみと呟いた。
「鍵は渡してあるんだし、来たい時にはいつでも俺のマンションに来てくれていいんだからな?」
まだ一緒に暮らせないのなら、せめて、いつでも会いに来てほしい。
「そうだね。そうする」
「ん」
早く。一刻も早く――。
椿と一緒に過ごした時間が、俺の気持ちを駆り立てる。
そのためには、両親と改めてきちんと話をする必要がある。
おそらく、両親を説き伏せるにはそれ相応の時間がかかるだろう。
その一歩を踏み出す。
そう決意した。
椿の立場に立って考える。
おそらく、自分に引け目を感じて何かを望むなんてできないと思うだろう。
自分のことより、俺の立場――。そんなものを考えてしまう。
だからこそ、彼女が引け目なんて感じなくてすむよう、俺がすべての状況を整えて椿にプロポーズしたい。