ニセモノの白い椿【完結】
「私は、自分の判断で、身の処し方を決めたいと思っています。これでも、木村さんよりも”二歳”も年上の人間ですから。自分の責任は自分で取ります。陰でこそこそ他人に言われて決めるようなことではない。それが、相手に対する誠意でもあり、大人としてのあるべき姿ではないでしょうか?」
唐島さんが唇を噛みしめて私を睨む。
残念でした! これでも、結婚もして離婚もして、あなたより人生経験積んでんだよ――!
なんて思っちゃうあたりが、私が全然大人じゃないところだけど。
でも、木村とのことだけは、私が自分で納得して決めたいことだから。
そのために、ずっと覚悟をして来たことだから――。
「ごめんなさい。今は、それしか言えませんが。でも、唐島さんのお気持ちは、良く分かりました」
そう言って頭を下げる。
それ以上彼女は何も言ってはこなかった。
カフェを出て、家にたどり着くまで、記憶がまるでない。
頭の中は、木村とのことで一杯だった。
見慣れた和室に座り込む。
ちゃんと、出来るよね――?
大人として、ちゃんと……。
自問自答する。でも、即答できない。
私の中で、決心するにはまだ足りない。動けない。木村を手放せない。
あの愛情に包まれた居場所を失いたくない。
ずるいと分かっているし、わがままだというのも分かっている。
でも、どうしても――。
私がしていた覚悟は、一体なんだったのだ。
いつか来るこの日のために、心に決めたのに。
いざとなったら、往生際が悪いったらない。
ローテーブルに顔を突っ伏す。
まだ、出来ない――。
まだ、私は自分を納得させられないのだ。